今年も江南荘の運動会に参加させて頂けるということで、子どもさん達をはじめ、園長、職員一同この日を楽しみにしておりました。
野山のコスモスが美しく咲き誇り、爽やかな秋晴れの下、江南荘の園庭では一際輝く笑顔と歓声が溢れていましたね。子どもさん達は江南荘に到着すると、「おはようございます。」と、お気に入りの衣裳に身をつつみ、ちょっと得意気に挨拶をする子や、おじいちゃんおばあちゃんがたくさんいてドキドキする、と緊張した表情を浮かべる子もいました。しかし、入場門へと向かう途中、江南荘の職員の方々やおじいちゃんおばあちゃんの温かい笑顔と言葉に励まされ、入場門に並ぶ頃には「僕、元気に唄うね。」「私も大きく踊るよ!」と緊張もほぐれたようです。周りを見渡す余裕も出てきたのか、「あっ、あんなところからも見てるよ。」と、江南荘の建物の中から手を振ってくれるおじいちゃんおばあちゃんを見つけ、「お~い。」と子どもさん達も手を振りました。たくさんの方からの応援を胸に元気ハツラツにステージへとびだしていく子どもさん達。年少児、年中児、年長児とどの学年もいつものように明るく元気に、そして笑顔でダンスを披露することができました。おじいちゃんおばあちゃんからの温かい拍手が子どもさんの胸にもきっと届いたことでしょう。
競技に参加させていただく時、Yさんに「おばあちゃんと手を繋いでね。」と声をかけました。おばあちゃんがYさんに手を差し伸べ、おばあちゃんの右手に触れた時、Yさんは一瞬顔が強張りました。しかし、おばあちゃんがにっこりと微笑む顔を見て安心したのでしょう。Yさんは自然と自分の左手をおばあちゃんの手の上に重ね、笑いかけたのです。その光景を見て、年齢は離れてるけど、言葉はないけれど、心と心が通じ合った瞬間のように思いました。「前に進みますよ。」の職員の方の言葉がけに、私も車いすの方に「押させていただいてもよろしいでしょうか?」と声をかけ、車いすを押そうとしましたが、意外と重くてなかなか前に進みません。私は自分の祖父や祖母を見ていると何だか小さく見えるのですが、今日の車いすを押す体験で、お年寄りの方の今までの人生の重みを感じました。
今年はおじいちゃんおばあちゃんと一緒の席に座り、より近くでおじいちゃんおばあちゃんと接することができ、とても貴重な体験になりました。最後の宝探しでは、「おじいちゃんも一緒に行こうよー!!」とおじいちゃんの手を無邪気にひっぱる子どもさんもいました。短い時間ではありましたが、まるで、自分のおじいちゃんおばあちゃんと接するかのように、初めて会ったとは思えないほどの屈託のない笑顔の子どもさん達の姿を見て、私達保育者も胸が熱くなり、とても嬉しく思いました。おじいちゃんおばあちゃんに元気を分けてあげようよ!!と張り切っていたのですが、逆におじいちゃんおばあちゃんから、温かい気持ち(エネルギー源)を分けていただいたように感じます。
幼稚園に帰ってからも、興奮冷めやらず、今日の運動会について子どもさん達と一緒にお話をしていると、「おばあちゃんが優しかったです。」「衣裳もかわいいけど顔もかわいいってゆってくれました。」「手が温かかったです。」「手がしわしわでした。」「血管がプクって出ていました。」「おじいちゃんと一緒に座れて楽しかったです。」「頭をさわってくれました。」「ダンスを見てくれたのが嬉しかったです。」「もっとおじいちゃんとお話したかったです。」「宝探しが面白かったです。」「おじいちゃんおばあちゃんが笑っていました。」「喜んでくれました。」「歩くのが遅かったからMが助けてあげました。」「Kのじいじとばあばみたいやった。」「また行きたいです。」おばあちゃんと手を繋いで競技をしたYさんも、「おばあちゃんの手がね、ふわふわしててね、なんか可愛かったんよ。」とお話してくれました。次々に手を挙げ自分の感じたことを発表するお友達。一度発表したお友達も何度も何度も手を挙げ、全部聞いていたらもう幼稚園からお家に帰る時間になっちゃうよ!!というくらい話が尽きることはなく、それだけで子どもさん達の心には今日の体験がとても素晴らしい印象記録として深く脳裏に残ることでしょう。普段はおとなしく、時にやんちゃな子どもさんがおじいちゃんおばあちゃんとお互いに楽しそうに会話をしているところを見られて子どもさん達にとっても、とても良い社会勉強になっているのだなぁと感じました。
今日一日、江南荘の皆様とくたに幼稚園の子どもさん達が一緒に過ごしたこと、一緒に笑い合ったこと、それは本当にかけがえのない時間です。今日の日のことをいつまでも思い出として、また会えることを楽しみにこれからも子どもさんと一緒に幼稚園で元気いっぱいに過ごしていきます。本当に本当に素晴らしい時間をどうもありがとうございました。皆様と心と心の絆、そして強さを感じました。
秋も深まり、寒さの厳しい季節へと近づいていますが、どうぞお体に気をつけ、これからも温かく笑いの絶えない江南荘の皆様の姿を願っております。
どうもありがとうございました。
昨日(さくじつ)、江南荘の施設長さんや介護士さんのお話を伺いますと、入所以来集団になじめず会話をしなかったり、脱走をしたりしていました男性の利用者が、人が変わったように笑顔で拍手をしている光景を見て一応にビックリしたとおっしゃっておりました。そして子どもさんのパワーはとても素晴らしいと感激されていました。江南荘の方々は、毎年くたに幼稚園のお友達と会えるのを楽しみにしておられるそうです。しかし、どうしても年をとると体に不自由が出てきます。また来年会いましょう・・・ということが難しい方もたくさんいらっしゃるのです。昨年も江南荘の運動会に参加させていただきました。それから数名の利用者の方がくたに幼稚園のお友達とまた会いたいなあ。素晴らしかったなあ。と涙ながらに亡くなられたそうです。その涙は決して後悔の涙ではなく、楽しかった、嬉しかったという、感謝、感激、感動の涙であったといいます。そのお話を聞いて私達も感極まり目頭が熱くなりました。
追伸
園長のお世話になっています方々に江南荘での心の交流の様子をご報告致しましたところ、長年にわたり積み上げてきた魂の教育がやっと実って来ましたね!と、とても明るい笑顔で応えてくれました。よりいっそう精進してまいる決意です。