吹き荒れる風に青白く光る雷・・・春の嵐も通り過ぎ、この日は青空に太陽の光がサンサンと降り注ぎます。大洲では28℃、松山でも25℃を観測し今年初めての夏日となりました。
今日は子どもさん達と一緒に、大友山のふもとまでヨモギ摘みに出かけます。年長児になって初めての園外学習です。昨年の体験から、摘んだヨモギはお餅に入れるんだよね。ともう12月のおもちつきに期待しています。
大友山のふもとに着くと土用部池という大きなため池があります。子どもさん達はヨモギよりも、まずこの大きな大きなため池に興味を持ちました。「うわぁ~広~い。海みたい!!」「お魚が住んでいるのかな?」「アメンボがいるよ。」「水の中が見えないね。」・・・子どもさん達がお話をしていると、園長先生が自分の背よりも大きな(長い)木を拾って来て「見ていてね。」と・・・園長先生はその木を池の中に入れてみます。子どもさん達は何が始まるんだろう?と不思議そうに覗き込みます。池の中から木を取り出してみると木には水の線(痕)が残っていました。その水の線と子どもさん達と背比べ・・・水の線よりも小さいお友達もいれば、「私は鼻の所ぐらいだから大丈夫だよ。」と得意気にいう子もいます。つまり、木で水の深さを測っていたんですね。子どもさん達もこの池はこんなに深いということが伝わりました。園長先生は手をグーンと伸ばしてもう一度木を池に入れてみました。今度は子どもさん達が「えーっ」と目を丸くして驚くくらい、どんどん木が下に下に入っていきます。取り出してみると、なんと、園長先生よりもはるかに高い所に水の線が残っていました。先ほど大丈夫と言っていた子も「こんなに深かったら溺れてしまうね。」と、つぶやきました。もし、僕たち私達がこの池に入ったら・・・と想像してみます。頭まですっぽり水の中・・・息はできるかな?息ができないってどういうことかな?鼻と口を塞いでみます。・・・「あーっ!!苦しいっ」とすぐに手を離します。周りにはつかまるところもありません。こけも生えてとても滑りやすくなっています。お友達はまだ、泳ぐことができません。そんなことを考えてみると、とてもとても怖くなりました。水はどんな時に必要なのでしょう。子どもさん達に尋ねてみると「お料理をする時。」「のどが渇いた時。」「お風呂の水。」「温泉」「顔を洗う時。」「手洗いうがいをする時。」「歯磨きをする時。」「プールをする時。」「お花に水をやる時。」「火事の時に火を消す。」「トイレで水を流す時。」・・・とたくさん考えました。こうやって考えてみると水って私達が生活する上でとても大切なものなんですね。だけど、水には危険なこともある。一歩間違えば自分の命を失うことになる。決して池や川、海やプールには一人では行ってはいけませんよ。必ず大人の人と一緒に行きましょう。そしてお約束を守って遊びましょう・・・。と園長先生は水の大切さと危険、そして命の大切さを教えて下さいました。子どもさん達も真剣な表情で園長先生とお約束をしました。
さて、池から周りを見渡すと、ヨモギがたくさん生えています。春になり青々とした若芽が葉を茂らせています。子どもさん達も「上のほうの葉っぱが若い葉っぱだよね。」「茎から外して優しく摘むんだよ。」とお友達同士教え合い(学び合い)ながら両手いっぱいにヨモギの葉を摘んではカゴへと集めます。「ヨモギの葉ってギザギザしているね。」「緑色をしているよ。」「柔らかいね。」「お薬みたいな匂いがするよ。」と五感を働かせて様々な発見をします。「葉っぱの裏が白いよ。」「どうして白いのかな?不思議だね。」「裏はお日様の光が当たらないからかな?」「葉っぱの裏から匂いがするよ。」「なんか白い所がフワフワしてるよ。」・・・もっと顔を近づけて見てみると、「なんか毛が生えてる。」そうです。ヨモギの白い部分は白い毛がビッシリと生えているんですね。「うわっ、これって毛だったの?何で毛が生えてるの?」「ヨモギのお爺さんだから?」「虫から身を守るため?」・・・子どもさん達は、何故?どうして?と疑問や不思議を感じ自分なりに答えを導きだそうとしていました。ヨモギだけでなく、「先生ナナホシテントウがいるよ。」「得意技は‘登る’ことだよね。」「ダンゴムシもいるよ。得意技は‘まるまる’ことだよ。」と、前日に読んだ絵本のお話を思い出します。モンシロチョウにミツバチ・・・ただ、「あっ、ちょうちょ!!」と見つけたものを言葉で表現していた年少さんの頃、図鑑で昆虫の名前を覚えた年中さんの頃、そして年長さんになって、昆虫の名前や特徴にも興味が膨らんでいます。
カゴいっぱいにヨモギを摘んだ後、「先生、暑くなってきたよ~。半袖になってもいいですか?」と、汗ばむ子どもさん達は少しずつ、暑かったら服を脱ぐ。寒かったら服を着る。と自分で体温調節もできるようになってきました。このような不思議な発見、新鮮な体験をしているんですね。
お昼の時間になり、荏原の町が一望できる池のほとり(土手の上)でパンと牛乳をいただきました。「あっ!!あそこに幼稚園が見えるね。」「生涯学習センターも、江南荘も見えるよ。」と、おゆうぎ会をした場所や、江南荘でおじいちゃんおばあちゃんと交流したことも覚えていました。
さあ、帰りは下り道です。一つ年下の年中さんと手をしっかりと握るお兄さんお姉さん。かと思ったら、歩幅が合わずに手をグイグイ引っ張ったり、手を離して先先行ってしまったりするお友達もいましたよ。それでも、1867歩の道のりを30分間歩いて幼稚園に到着しました。「只今、帰りました。おいしいヨモギの葉っぱを摘んできたよ。」と幼稚園で待っていた栄子先生にご挨拶をし、お部屋に戻って一休み。さて次は、摘んできたヨモギはどうしましょう。4人ずつグループごとに分かれてヨモギの葉を丁寧に優しく洗いました。洗った葉はボウルに入れて職員室に届けます。一日お水の中でお休みなさい。(あく抜き)次の日にはお鍋の沸騰したお湯の中にヨモギを入れて茹でます。「わぁ、どんどん小さくなっていくよ。」「ジャガイモみたいな匂いがする。」「ホウレンソウみたいになったよ。」「お水の色が黄緑色?茶色っぽくなったよ。」とヨモギや茹で汁の変化に驚きながら、茹でたヨモギは冷まして冷蔵庫へ・・・これからお料理パーティーやおもちつきで使いましょうね。おやすみなさい。
年長になって初めての園外学習。水の危険を学んだことから、自分の命の大切さや自分の命を守るためのお約束を改めて考えました。歩いて幼稚園に帰る時も、車が来たら止まる。道を渡る時には左右を確認する。交通ルールを確認しました。これも自分の命を守るための方法ですね。また、ヨモギも若芽が芽生えていたように新しい命の芽生え。その命を私達が食べて生きるためにいただいているということ。昆虫も植物の蜜を吸って生きている。お仕事をしているということ。私達の命、自然の命全ての物に命があるということをたくさんの自然の中で改めて感じました。
お部屋で、子どもさん達一人ひとりに聞いたヨモギ摘みの感想を子どもさん達の言葉のまま紹介しますね。
・園長先生が木を拾って水の中に入れた意味がわかりました。
・テントウ虫が小さなヨモギの上に座っていました。ヨモギの葉はどうして白いのか不思議でした。
・ヨモギの茎に葉っぱがたくさんついていました。
・ヨモギを摘むのが楽しかったです。若い所を摘みました。
・ミツバチがぼくについて来て、ゾウさんのポーズをしました。(防災ダックより)
・園長先生がアメンボを見つけてくれて嬉しかったです。
・木の根っこがあって、ヘビみたいでした。
・ヨモギ摘みが楽しかったです。
・ミツバチが蜜を吸ってハチミツを作っていました。
・ヨモギの葉に白い毛が生えているのは「自分の身を守るためだと思いました。」
・園長先生が池に落ちないかな~と心配しました。
・たんぽぽがたくさん咲いていてきれいでした。ひっつき虫が先生の服についていて面白かったです。
・テントウ虫やハチがかわいかったです。
・たぬきの地図があって、くたに幼稚園を見つけました。
・先生とお友達みんなで行ってお弁当を食べてうれしかったです。
・池の右側の所が深かったです。だんだん沈んでいって怖かったです。
・ヨモギのいい匂いがしました。