今年も会長さんを始め、役員さんや父母の方々に支えていただき、子どもさんの成長を生涯学習センターの大きな舞台で披露することができました。本当にありがとうございます。
私がくたに幼稚園のおゆうぎ会を迎えるのも今年で4回目になりました。今年度は初めての年中(4歳児)担任ということでプログラムを考える際、どのように構成しようか迷いました。そこで、子どもさん達の4月の姿と今の姿を振り返り、比較してみると心身ともに成長している姿が思い浮かびました。例えば、なわとびの練習。A君は難しくてなわとびが跳べませんでした。跳べないからつまらない。止めよう。と、すぐに諦めてしまいます。A君には読み書きや製作においても根気が続かず意欲が持てない様子も多々見られました。園長先生も戸外で子どもさんと一緒に木登りをしたり、体全体を使って一緒に遊んだりする中で一人ひとりなわとびの様子を見て下さいました。跳ぶのが苦手な子にはジャンプのリズムを、うまく回せない子には手首の動きを、跳べるようになった子には「30回跳んでみよう!」「駆け足跳びに挑戦してみよう!」「後ろ跳びもやってごらん。」「あやとびはできるかな?」と次のステップへ進む目標を。平等に一人ひとりにあった援助、言葉かけをして遊びながら技術指導(テクニック)して下さいました。すぐに諦めてしまっていたA君も「僕も園長先生に見て欲しい。」「〇○ちゃんみたいに跳びたい。」と周りのお友達から刺激され、それからというものA君は幼稚園でもお家でも遊びながら練習して少しずつ跳べるようになりました。3学期になる頃には「先生、見よって~!」と、跳べるようになったことを嬉しそうに披露してくれるA君。『二拍子』『一拍子』『片足跳び』『後ろ跳び』『駆け足跳び』一人ひとりできるようになったことに個人差があります。縄を回してジャンプするリズムをつかめた。それだけのお友達もいます。しかし、4月からその子の様子を見てきた私からすると驚くほどの成長です。思わず胸が熱くなり涙が止まりませんでした。やはり、できるようになるにはそれまでの課程(プロセス)があったはずです。一生懸命に練習したはずです。そんな子どもさん達の心の成長、練習すればできるようになる。楽しい。という成功体験、努力を継続することによってできる!という自信へと繋がったように感じます。なわとびの練習を通じて、その子の持っている可能性を惹き出し何に対しても意欲的に積極的に取り組むようになた姿から心の教育がとても大切だと実感しました。
また、運動会の頃には年長児の組体操に憧れお部屋の中で‘おうぎ’‘東京タワー’‘フラワー’など見よう見まねでお友達同士で遊びの中で一緒に挑戦していました。その姿からは、年長児に対する憧れと同時に年長になるまで待ちきれないよ!やてみたい!という溢れんばかりの意欲とやる気に満ち溢れていました。そんな子どもさんの生き生きとした普段の幼稚園での様子を保護者の方へ見てもらいたいという思いから、なわとびや組体操、回れ右やスキップを劇やダンスの中に取り入れることにしました。
今年は‘創作劇’として『スイミー』のお話を選びました。小学2年生の国語の教科書に掲載されている有名なレオ・レオニ作。谷川俊太郎訳。のお話で私自身も小学生の頃に学んだことを覚えています。
小さな魚や海の生き物達が助け合い励まし合いながら、勇気と知恵をふりしぼり、大きなまぐろと戦う話。大きなまぐろに食べられてしまうよ。怖いよ。だけどいつまでも隠れているわけにはいかない。どうすればいいか考えよう。みんなで考えるといいアイディアが浮かぶ。みんなで呼吸を合わせて大きな魚のふりをして並んで泳ぐということ。みんなで約束する。決して離れ離れにならないこと。みんな持ち場を守ること。約束を守り一匹一匹(一人ひとり)が役割を与えられ責任をもった。上手に泳げるようになった時ははじめて大きなまぐろを追い出すことができた。このお話の中で一人ではできないことや、やる気のおきないこともみんなで考えて知恵を出し少し勇気をふりしぼり一歩を踏み出すことでどんなに難しいことでもできる(協力教育)ということや、一人ひとりが責任を持つこと。私達は一人で生きているのではない。周りの人に支えられ助け合いながら生きていること。子どもさん達に伝えたい様々なメッセージや普段の子どもさんの姿に重なる場面もたくさんありました。また、谷川俊太郎さん独特の訳の中には『そのとき恐ろしいまぐろがミサイルみたいにつっこんできた。』『虹色のゼリーのようなクラゲ』『水中ブルドーザーのようないせえび』絵本の表現には様々な比喩表現が使われ、海での美しい情景が思い起こされます。その情景を‘ナレーター’という役を作り絵本通りに表現することにしました。これもまた、小学生になるまでの先行体験として比喩という表現を体で感じることや声に出して文字を読むという音読へ繋がることを意識し、年長児になり、様々な行事の司会も簡単にできるのではないかという思いと願いがありました。
3学期に入り、晴れた日も雨の日も毎日お部屋でおゆうぎ会の練習練習という毎日が続きました。2月3日に雪が積もったことをきっかけに久しぶりに戸外へ元気いっぱいに子どもさん達と一緒に走り回り雪合戦をしたり雪だるまをつくったり・・・手も鼻も真っ赤になるくらい冷たかったけれど寒さを感じないぐらい汗をかき、私も童心に戻って無邪気に遊び、心から楽しい!感じました。それを機に練習の中のわずかな時間を見つけ戸外に出るようにしました。ホームのお友達全員で‘こおり鬼’をすると、以前はルールも理解しないままタッチされても逃げる。というような姿から、きちんとしたルールを理解し立ちされたらこおる。味方の助けを待つ事ができるようになっていました。また、凍った仲間を助けるために鬼の目を伺いながら隠れて助けに行くタイミングを伺ったり、二人で協力して一人が前から行ってもう一人が後ろから助けに行くなど、自分達で考え、創意工夫しながら遊んでいるという成長にとても驚きました。おゆうぎ会の練習で、お友達と教え合いながら練習する姿。元気に堂々と発表する姿。私はおゆうぎ会へ向けて成長している子どもさん達の姿しか見えていませんでした。今日、戸外で子どもさん達と一緒に遊ぶことでこんなところでも成長している。いつの間に子どもさん達の考える力や学ぶ力が育っていたんだろう?と子どもさんの思わぬ成長に嬉しさと同時に自分のおゆうぎ会へ向けて一直線という焦りの気持ちに反省しました。体を思い切り動かすことによって脳と心が活性化され、その後の練習ではけじめをつけ、自分で姿勢に気をつけたり意欲的に動いたりする姿も見られました。
本番では、程良い緊張感の中に落ち着きのない姿も見られましたが、幕が閉まり一つの舞台を演じ終えた子どもさん達は、「あ~楽しかった。」「もう一回したいなぁ。」と満面の笑顔でした。自信を持って発表し、楽しい。と感じられること。これも一つの成長のように感じ、私も控え室に戻って来る子どもさん一人ひとりを抱きしめながら声をかけ、子どもさんの気持ちに共感しました。
一日一日、一秒一秒の保育の中で適切な緊張感や集中力、そして持久力を養ってきた結果、一人ひとりの子どもさんが素晴らしい発表をし、成長しています態(すがた)を見せてくれました。園長がいつも言っていますように、くたに幼稚園の特色である『学び方を学ばせる』という教育の素晴らしさ、大切さを改めて実感しました。
こうして、心身ともに健やかに逞しく育っている子どもさんと共に私も未来に向かっての希望や希(のぞみ)が大きくふくらみました。
一人ひとりのお友達へ・・・感謝!感激!!感動!!!をどうもありがとう。
最後になりましたが、すずらんホームさんの年長さんまで一人ひとりの子どもさんの心に寄り添い一緒に遊んでくれたり、全てのプログラムを考慮し選曲・演出して下さった園長先生に熱く感謝いたします。本当にありがとうございました。