先日は、くたに幼稚園へようこそいらっしゃいました。
突然の訪問にとても驚き、ドキドキしている私をよそに子どもさん達の大好きな園長先生が、いつもと違った格好(スーツ姿)をしていることや、お客様がいらっしゃったことがとても嬉しく、すぐに園長先生や穂積先生のそばに集まっていましたね。
絵本を読んで下さるということで、急遽、私の好きな絵本の1冊をお渡ししました。渡した後に、しまった!と思いました。テレビの世界では時代劇などで活躍されている穂積先生にえらくかわいらしい内容の絵本を渡してしまったと・・・・・・もっと仙人とかおおかみが登場する物の方がよかったかなと・・・・・・。
それでも、子どもさん達と一緒にワクワクしながら二階へあがりました。
「今から絵本を読んでくれるからね。」という先生の言葉かけに子どもさんの期待も高まります。
「真っ白なねきれが空からふってきたんですよ。」
抑揚のある独特な声にまず子どもさん達は惹きつけられました。『絵本を見る』といってもいつもとは何か違うぞ!と、感じたようで興味津々に身を乗り出す子もいました。
絵本をまるで台本のようにしていつも私達が使っているホールがミュージカルの素晴らしい舞台のように変身しました。動きがあり、笑いがあり、特に聞き手との対話があり、絵が見えない時は穂積先生の動きや声、言葉によってより想像が膨らみました。
ウサギさんのワンピース。ワンピースの模様が変わるたびに「私に似合うかしら?」とウサギさんは言います。すると、中には「似合わん!」という声も聞こえてきました。私がこの本を読んだ時も「似合わない」というお友達もいました。その時、私は絵本を読み終わった時に、「ウサギさん、みんなに似合わないっていわれてどんな気持ちがしたと思う?」と、問いかけました。私の心の中には、たぶん『みんな』が優しい心を持って欲しい!似合わないなんて言わないで!という気持ちがあったと思います。
しかし穂積先生の「似合う」っていうお友達もいるし「似合わない」っていうお友達も色んな感じ方があるね。という言葉を聞いて、私は自分の考えやこんな人になって欲しいという勝手な思いを子ども達に押しつけていたように申し訳なく感じました。一人ひとり感じ方は違います。一人ひとりの感性やつぶやきを大切に育て、磨いてあげたいなと思います。
それでも、ウサギさんが傷つくんじゃないか・・・・・・という思いも私は捨てきれません。そこで、「似合わない」→「じゃあどんな模様のワンピースが似合うだろう?みんなで考えてみよう。」と、一人ひとりに思い思いのワンピースを絵で表現させるなど、子どもさんの言葉から保育に幅を持たせ新たな子ども達の発見へと繋げられるような技術が私達保育者には必要だと感じました。
今回、絵本を読んでいただき子どもさん達はお部屋に帰ってからもまだまだ興奮冷め止まず「楽しかった!」と、目をキラキラさせていました。私も読み方(テンポ、抑揚、間合い、声色など)や、聞き手への配慮、そして相手を魅了するという穂積先生の読み聞かせにとても感動しました。
くたに幼稚園でも幼いころからの感動体験を大切にしています。でも、子どもが「感動した」という言葉を使うことは滅多にありません。今日の体験を通して子どもにとっての「感動」とは心から「楽しい!」と感じられることなんだと改めて感じました。さすがは、数多くの舞台を経験しお客様を魅了できる名俳優の穂積隆信先生ですね。4月から入った間もない子どもさんもとても感動し印象記録として、今でも残像に残っています。子どもさんの心と脳に優しく染み渡り、私も保育者として学ぶところがあり参考にしたいと思います。
お忙しい中、子どもさんや私達に感動を与えて下さり本当にありがとうございました。